事業運営に役立つ3つのフレームワーク

事業運営は答えのない問題を解き続けるようなもの

事業運営をしていると、やっていることが正しいのかわからくなったり、メンバーと意思共有が難しくなってしまうことがあると思います。私自身もそのような経験があり(今もですが…)、なんとか改善できないものかと苦慮していた時があります。

事業は答えのない問題を解き続けるようなもので、何が正解とか言ってくれる人もいませんし、期待するのも違います。結論から言うと、答えがあると思わず、「答えを解くプロセスに集中」したほうがいいんじゃないの?というのが私の考えです。

そこで、ここでは、私自身も活用している、事業運営に役立つ3つのフレームワークをご紹介します。

アイデアの質と行動の質

事業の成果は、行動の質×アイデアの質です。下図の面積に当たります。

成果を最大化するには、行動とアイデアの質を上げることになります。アイデアの質は相手(競合)や時流に影響を受けやすく、どちらかというとセンスや運とも言えます。

逆に、行動の質は、実行者の意思やテクニックでなんとかなり、自分が影響を与えやすいということです。であれば、確実性の高い行動の質を上げることに集中したほうが良いといえます。

アイデアが「中」でもやりきれば、それなりの成果がでます。すくなくともアイデア自体の(使えるアイデアなのか否か)検証はできます。

数値化と言語化

行動の質を上げるためには計画が必要です。計画を実行するには、数値と言語の両方が重要です。

目標の数値を達成するために、「どのような行動を行うのか?」が言語化です。数字を見ていても結果は出ません。結果を出すのは行動です。しかし、行動だけを見ていても、検証ができないので、結果が良いのかどうかは判断できません。

計画の軸を通す

計画は3ヶ年計画だけ作っても運営は機能しませんし、いきなりスケジュールを作っても意思統一が弱く機能しません。

3ヶ年計画などの事業計画があり、それを達成するための具体的な打ち手にあたる戦略があり、その戦略を進めるスケジュールにあたるマイルストーンがあり、マイルストーンを実行していくためのチームや個人の目標設定と1本の軸を通すことで機能する計画になります。

戦略BASiCS

ビジョンやミッションと3ヵ年計画などの事業計画は、その会社が中長期で目指したい場所です。事業計画をどのように達成していくのか?を言語化したのが戦略です。

swot分析や4C、4P分析などもありますが、個人的にはSelling Message(売り文句)まで導くので、戦略BASiCSが活用しやすくお勧めです。

BASiCSは、Battlefield (戦場)、Asset (独自資源)、Strength (強み・差別化)、Customer (顧客)、Selling Message (売り文句)の頭文字を取ったものです。

つまり、どの戦場(市場)で、どんな独自資源を、どのような差別化要素として、どんな顧客に、どのようなセールスメッセージで伝えるのか?を言語化するフレームワークです。

BASiCSは自分だけでするのではなく、メンバーと一緒に組み立てると効果が高いと考えています。

各自が自分が考えていることを付箋などで書いてもらいながら共有すると、あなた自身にも新しい発見になることもあるでしょうし、参加したメンバーも意思統一が図れます。

BASiCSの全ての項目を上げた後には、一つの流れが取れるように文章を整理し、戦略を導きます。

なお、ワークをする上でのポイントは以下の通りです。

  • 思い込みを防ぐために客観的な数字を絡める。
  • 反論の余地が小さい方が戦略として機能する。
  • 文章はシンプルであるほうが好ましい。分かりやすい戦略は行動につながる。
  • 定期的にワークを行い、都度戦略を変更し共有すると効果的。

OGSM

次に、戦略を実行に移す時に便利なフレームワークがOGSMです。

OGSMは計画表のようなもので、まず最初にObject(目的)を定義します。半年間のOGSMを立てる場合は、半年後に目指したい姿を定義するのがよいかと思います。

目指したい姿を複数の目標で数値化したものがGoals(ゴール)となり、その実現のために、Strategies(戦略)を組み立てます。そして、モニタリングしていくための評価(KPI)と共に、アクションプランを作ります。

OGSMは、

  • 自分でやることを決め
  • しっかりと実行されているのか?

をみんなでモニタリングしていくためのツールです。

なお、ワークをする上でのポイントは以下の通りです。

  • Action Planは1ヵ月毎に立てる。
  • OGSMがモニタリングするツールとして機能するまでは週一くらいで実施するのがよい。
  • モニタリングは全項目ではなく、優先度を意識する。
  • 絶対やらないとダメなことを関わるメンバーと共有する。

OGSMの作成とモニタリングで、事業運営は8割うまく回る

Will Can Must

戦略を計画に落とし込めれば、最後に計画を実行する個人の目標設定を考えます。個人の成果を上げるためには、組織への貢献感(役に立っていると感じる・必要とされていると感じる)が重要だと考えています。

個人の意思(やりたいこと)を尊重するのも大切ですが、優先しすぎるのは違うと思います。大切なのは、バランスです、

そこで使えるのが、will(やりたいこと)・can(できること)・must(やるべきこと)です。

will(やりたいこと)・can(できること)・must(やるべきこと)の交わりが大きければ、大きいほど、モチベーション高く仕事に取り組めるよね!ということです。

それを、計画できるようしたのが下のフレームワークです。

なお、ワークをする上でのポイントは以下の通りです。

  • willの2~3年後に実現したいことは、背伸びしない実現できなさそうなくらいで考えた方がよいです。
  • MustはOGSMのアクションプランを、個人に役割分担したもの。
  • Mustは可能な限り数値で設定し、客観的に振り返ることができるようにする。

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まとめ

天才的な起業家なら計画を飛ばしてアイデア一本でも成功するかもしれませんが、普通の起業家は粛々と行動力を磨くべきです。

行動力を磨くためには、事業計画→戦略→マイルストーン→個人行動計画などの、計画の軸を意識されるのをお勧めします。今回、紹介したフレームワーク以外にもいろいろありますので、ご自身がしっくりくるのを選択されてみてください。

また、フレームワークは一度作ればよいのではなく、試行錯誤しながら、より良いものにアップデートしていくことで、より機能してきます。