なぜアクセラレーションが注目されるのか?九州の事例をまじえて解説

IT化やAI技術の発達により、社会の変化は年々加速度的に進んでいます。今後もこのスピードはさらに増していくと予想され、事業者にとってはますます厳しい環境が待ち構えています。

そんな時代にあって注目を集めているのが、アクセラレーションです。大手企業がスタートアップ企業を支援する仕組みを意味しますが、なぜこうした取り組みが注目されているのでしょうか。

今回は用語の意味やアクセラレーションのメリットについて、九州での事例をまじえて解説します。

アクセラレーションとは?

アクセラレーションとは、ビジネスにおいて短期間で事業を成長させる取り組みを意味します。「加速する」という意味を持ち、IT分野では機器やソフトウェアの高速化処理で使われる用語です。

アクセラレーションでは、スタートアップや起業家が事業の拡大や成長を目指してプログラムを活用します。プログラムを提供し支援するのは大手企業やベンチャーキャピタルなどで、支援する側は「アクセラレーター」と呼ばれています。

アクセラレーターは知識や設備、ノウハウといったリソースをスタートアップ側に提供。リソースを活用してスタートアップ側は短期間での事業の成長を目指します。

スタートアップと大手企業の双方にメリットがある

では、なぜ大手企業をはじめとしたアクセラレーターはスタートアップや起業家を支援するのでしょうか。

大手企業は資本力やリソース、ノウハウの蓄積といった強みを持っています。一方で新規事業の創出や新たなアイデアを生み出すといったイノベーションの領域を苦手としています。組織が巨大で安定しているため、かえって変化への対応や柔軟性が乏しいのが理由です。そこで大手企業が注目したのが、アクセラレーションの仕組み。自分達のリソースやノウハウを提供するかわりに、スタートアップの持つ柔軟な発想力やアイデアを学び、自社の事業を促進するきっかけとして活用するのが狙いです。

スタートアップ側からすれば、アクセラレーターとなる大手企業のリソースやノウハウを使って、事業の成長や成功率を上げられます。変化が速く競争が激しい現代において、新規事業を成功させ、軌道に乗せるのは至難の業です。アクセラレーターと二人三脚で事業に取り組んでいけば、スピーディーな事業の成長・拡大が可能です。

地方でのアクセラレーションが活発化する3つの理由

さて、アクセラレーションを目的とした「アクセラレーションプログラム」は現在全国各地で開催されています。とくに近年のトレンドとなっているのが、地方でのアクセラレーションプログラムです。

地方でのアクセラレーションが活発化する理由を3つの視点から見ていきましょう。

1.新規事業の創出

都市圏への一極集中により、地方では年々地域経済を支える事業が衰退傾向にあります。事業が衰退すれば雇用も縮小され、働き手がますます都市圏へ流失する。新規事業の創出が望まれますが、そもそも人口や規模の母数が小さい地方では、スタートアップが自然に誕生する機会にも限度があります。

こうした悪循環を止める一手として期待されているのが、アクセラレーションプログラムです。大手企業のノウハウやリソースがあれば、資金や規模が小さい地方のスタートアップでも、短期間での成長が可能です。勝ち筋があるとなれば、アイデアや柔軟性を武器に起業を目指す動きが加速します。

2.人的資源の成長

現在地方経済が抱える問題の1つに、未来を担う人的資源の枯渇があります。市場規模が小さい地方では、都市圏のように大きな案件に携わる機会が少なく、とくに若い人材はプロジェクトの全容を把握する機会が極端に限られます。

その点、スタートアップをターゲットとしたアクセラレーションプログラムなら、若い人材でもプロジェクトの根幹を担いながら、経験を積み上げていけます。プログラムを通して、こうした人材が数多く誕生すれば、地方経済のリーダーとなり得る人材の誕生につながります。

3.若年層の流出阻止と都市圏からの移住促進

地方が積極的にアクセラレーションプログラムに取り組むのは、若年層の流出阻止と都市圏からの移住促進につなげる狙いもあります。

プログラムにより地域の魅力あるスタートアップ企業が誕生すれば、これまで都市圏に流出していた若年層が地域にとどまる選択肢があります。また、都市圏から地方への移住を考える人にとっても、プログラムに積極的な地方や自治体は魅力的に映ります。

九州でのアクセラレーションプログラムの事例

最後に九州でのアクセラレーションプログラムの事例をいくつかご紹介します。

福岡│UPDRAFT batch

UPDRAFT batchは、福岡で開催されるアクセラレーションプログラムです。2023年には第5期が開催され、6社の企業がプログラムに採択されました。同プログラムでは、九州を中心としたメンター陣や、事業会社との連携によりスタートアップ企業の成長を支援。九州最大のスタートアップイベント「StartupGo!Go!」でのピッチコンテスト出場権が付くなど、充実したプログラムが用意されています。

大分│Oita GROWTH Ventures

大分のスタートアップ企業を第二創業者を対象としたアクセラレーションプログラムが、「Oita GROWTH Ventures」です。地域に根差したプログラムを実施。

事業目的に向け、商品やサービスの認知拡大や販路拡大、業務提携先の拡大、資金調達、新規事業創造など、約7ヶ月のスパンでプログラムが開催されます。

宮崎│hinata STARs

宮崎県が中心となって実施するアクセラレーションプログラムが「hinata STARs」です。スタートアップ企業の成長はもちろん、中高生向けの学びの場としてもプログラムを活用しているのが特徴。近い将来だけでなく、未来へ目を向けたプログラムといえます。

まとめ

今回はアクセラレーションが注目される理由や、地方でプログラムを開催するメリットについてご紹介しました。

アクセラレーションでは、大手企業がスタートアップ企業を支援する仕組みを意味します。地方では新規事業の創出や、将来を担う人的資源の成長が求められていますが、プログラムを通して有望な企業や人材が現れれば、地域経済に明るい光が差します。

地域に密着したプログラムも増加傾向にあり、今後の動向に期待が集まります。