【西日本版】IT誘致に積極的な地域の事例を紹介

地方都市でのIT誘致の事例は数多くありますが、自治体や地域が積極的に誘致に取り組むことで大きな成功を収めた事例が増えてきました。

今回は西日本地域からIT誘致に積極的な地域事例を4つご紹介します。それぞれの地域での自治体の取り組みを見ていきましょう。

西日本でIT誘致に積極的な地域事例4選

IT誘致は地方にとって、雇用促進や新たな産業の開拓といったメリットがあります。とくに人口減少や若者の流出に悩む地方にとっては、ITという魅力ある産業を誘致することが課題解決の一手として期待されています。

では具体的なIT誘致の成功事例として、西日本地域の事例をご紹介します。

1.佐賀県

九州の佐賀県は、近年IT企業の進出が続く地域として注目されています。

同県では2018年度わずか2社だったIT企業の誘致件数を、2019年には14件まで増加させることに成功。翌2020年も11件の誘致に成功し、一躍IT誘致を成功させた地方都市として注目を集めました。

佐賀県ではこれから迎えるDXの時代に向けて、地域にAIやIot分野の先端技術が不可欠だと感じていました。そこで知事も旗振り役をつとめ、これまで工場が多かった誘致活動を、IT企業へも拡大。移転やサテライトオフィスを開設する企業向けに、オフィスビルの整備や助成金の充実など受け入れ体制を整えていきました。

また佐賀県の事例で特徴的なのが、パーマネントスタッフ制度です。これは佐賀県へ誘致した企業が希望すれば、誘致に携わった職員が部署を移動後も企業との窓口になってくれる制度です。誘致して終わりではなく、誘致後も手厚いフォローがあるというメリットを謳えることで、活発な誘致活動を実現しました。

【代表的な誘致企業】

  • Cygames(ゲームの企画・開発・運営事業)
  • LIGHTs(AI関連事業)

2.宮崎県宮崎市

宮崎県宮崎市もIT誘致で成功を収めた地域の一つです。

同市では、中心市街地の空洞化が深刻化し、空き店舗の増加が地域の課題でした。店舗がなくなれば雇用も失われ、若者の流出にも拍車がかかります。そこで中心市街地に人を呼び戻し、新たな雇用を確保する一手としてICT企業の誘致活動を活発化させました。

2015年から中心市街地に10年間で3000人の新たな雇用を創出する「”マチナカ3000″プロジェクト」をスタート。助成制度の充実に加え、積極的な誘致活動により、UUUMやGMOといった大手企業のサテライトオフィスの開設が進みました。

また、ICT関連企業が連携する『宮崎市ICT企業連絡協議会』が企業の枠を超えて連携することで、IT人材の育成や確保が進んだ点も見逃せません。本来なら競合となる企業同士が連携することで地域を挙げた取り組みが加速。前述したマチナカ3,000は、6年後の2020年までに2,800人以上の雇用創出を実現するなど見事な成果を上げ、目標達成が確実視されています。

【代表的な誘致企業】

  • GMO(IT関連事業)
  • UUUM(ITエンタメ事業)

宮崎ネット系ベンチャー地図2020

3.島根県松江市

続いてご紹介するのが、島根県松江市です。松江城をはじめ歴史ある古都として知られる松江市ですが、多くの地方都市と同様に人口減少が大きな課題でした。

転機となったのがプログラミング言語の「Ruby(ルビー)」です。世界中で親しまれているこのプログラム言語の開発者・まつもとゆきひろ氏は松江市の出身。人口減少への一手を模索していた松江市の職員がこのことを知り、「松江市をRubyの聖地にしよう」と発案し、IT誘致を軸にした「Ruby City MATSUEプロジェクト」がスタートしました。

プログラミング言語にはそれぞれコミュニティが存在し、言語を使用する人材や企業同士の繋がりがあります。松江市はこのコミュニティの場を具現化し、イベントや教育プログラムを自治体で開催することでRubyに関りの深いIT企業の誘致を実現しました。

【代表的な誘致企業】

  • パソナテック(クラウドソーシング事業)
  • モンスターラボ(DX推進事業)

4.徳島県神山町

最後にご紹介するのが、地方創生のモデルケースとしてメディアでも注目を集めた徳島県神山町の事例です。神山町の事例は行政だけでなく民間が町おこしに積極的に取り組んだことで、大きな化学変化が生まれたユニークな事例といえます。

徳島県の山間部に位置する神山町は、過疎化による人口減少が続く“限界集落”の一つでした。ターニングポイントとなったのが、2005年に町内全域に光ファイバーが敷設されたこと。ネットワーク環境が整備されたことで、マザーズ上場のSansanをはじめ、IT企業のサテライトオフィスが続々と開設されています。

さらにサテライトオフィスを開設した企業がオフィス機能やリモートワーク機能を兼ね備えた宿をオープン。また地域のNPO団体が主導したコワーキングスペースの開設など、官民が一体となった好循環が生まれ、IT誘致による地方創生のモデルケースへと発展しました。

【代表的な誘致企業】

  • Sansan(名刺管理サービス事業)
  • ダンクソフト(Wen製作・コンサル事業)

まとめ

地方にとって社会のニーズが増加しているIT企業の誘致は、雇用創出や若者の流出に歯止めをかける大きな一手となります。今回ご紹介した西日本地域の各自治体でも、人口減少やデジタル社会への対応のため、IT誘致を推進した背景がありました。

しかしただ自治体が旗振りをするだけでなく、手厚いフォローやハード面の整備、誘致後のサポート体制の充実など、特色ある試みがなければIT誘致は実を結びません。今後IT誘致に取り組む地方は、いかに他の地域と差別化を図りつつ、企業にとって魅力ある提案をできかがカギを握ります。

また、移転やサテライトオフィスを開設した企業側も、ただメリットを享受するだけでなく、地域経済に貢献できる価値を提供し続ける責務があります。後に続く企業が増えれば、人材の流動性や競争力が増し、結果として自社にプラスに働く好循環が生まれるでしょう。