未来は予測できるのか?2014年に発表された、EC市場の2019年予想の振り返り

ベンチャーはある種、未来を予測・先回して事業をつくり、成功を勝ち取るイメージがあります。しかし、未来を予測できるのであれば、誰もが成功するわけで、現実は困難(ギャンブル)だと思っています。

下記に、YJキャピタルの小澤氏が、5年後、なるべく堅い未来予測をされました。

今後ECに何が起きるのか–絶対に押さえておきたい、ヤフー小澤隆生氏が語る「EC業界の未来予測」

どの未来予測も、その時には、確からしいと感じたものばかりでした。

このページでは答えあわせというよりは、

  • どれほど優秀な人物であっても、予測は外す
  • 予測が難しいとして、企業はどうすべきなのか?

を考える切っ掛けになればと思います。

それでは、具体的に見ていきましょう。

1)2018年、日本のEC市場は2倍の20兆円規模に成長する

国内BtoCのEC市場規模は9.1%増の16.5兆円、EC化率は5.79%で依然として増加基調が続く

様々なデータがあるので、何が正しいのか今一わからないのが、市場規模です。

5年で2倍と言われていましたが、2倍まではいかないかなという印象です。ただ、今も順調な拡大傾向にあるのは、間違いないでしょう。

2)1億2000万人のうち、3000万人がネットで物を売るようになる

フリマアプリ「メルカリ」サービス開始5周年記念第一弾 5年間の歴史を振り返る『数字で見るメルカリ』を発表

メルカリのダウンロード数が国内外あわせてですが、1億件を突破しているようですね。アプリをインストールすれば、売ることもできるでしょうから、3000万人がネットで売るという世界には一応なっているのではないでしょうか。

また、以下のようなデータも報告されています。

【2019年最新版】国内のECサイト・ネットショップの総稼働店舗数

ただ重要なのは人数の増加ではなく

  • 儲ける動機が少ない(むしろ無い)個人が市場を荒らすことになった?
  • ECの勝ち組と負け組の格差がどんどん広がっている?

など、ECの運営方法などを変えざるえない環境にはなってきているのは注目すべき点だと感じます。

ちなみに、リアルタイムな情報ですが、

ヤフーショッピング/ライト出店を一斉休店/プロ店移行しない場合は自動閉店

は、ヤフーショッピング出店無料化(2013年~)に伴う市場の荒れも一因なのではと妄想してみました。

3)飲食店はネットで予約できるべき、当たり前ができていない

サービス系ECが伸びるという話でした。また、旧来の受注方法から、ECの受注が増えるとの話でした。

EC化率が増えているので、それに応じて増えるのは自然な流れです。触れられてはいませんでしたが、Uberなどのサービス系ECは、この数年で非常に増えた事例ではないでしょうか。

4)商品を注文する必要すらなくなる、自動化の流れが加速

アマゾンDashというサービスに触れています。ただ、このアマゾンDASHは、2019年にサービスを終了しました。

アマゾン、「Dash」ボタンの販売を終了へ

なお、記事では、「Alexa」を通して音声で商品を購入できる機能を開発したといとされていすが、日常的に使われるサービスになりそうな気配は今のところありません。

5)キュレーションとパーソナライズが流行る

FabというECサービスに触れています。ただ、このFabは、2015年に失敗に終わったと記事になってしまいました。

3.3億ドルを調達したFabがテック業界のタイタニックとなって沈没した理由

またキュレーションに関しては、Denaの問題も記憶に新しいのではないでしょうか。

DeNA 休止のキュレーション事業 営業損失28億円

6)3Dプリンターがほとんどの物流をなくす可能性も

3Dプリンターがほとんどの物流をなくす可能性がありそうな気配はまだありません。工業製品の生産活動をされている人なら、そんなことにならないよな…とは感じていたと思いますが、今のところ、その予想は正しそうです。

3Dプリンターは、あくまでも製造方法の一つなわけで、打ち出の小づちではないというとだと思います。仮にできたとしてもコスパは最悪だと予想されます。

まとめ

正しかった、と言ってよいこと

  1. 2018年、日本のEC市場は2倍の20兆円規模に成長する
  2. 1億2000万人のうち、3000万人がネットで物を売るようになる
  3. 飲食店はネットで予約できるべき、当たり前ができていない

正しかった、と言えないこと

  1. 商品を注文する必要すらなくなる、自動化の流れが加速
  2. キュレーションとパーソナライズが流行る
  3. 3Dプリンターがほとんどの物流をなくす可能性も

「正しかった、と言えないこと」は、今時点だから言えないだけかもしれません。ただ、事業としてやるには、5年かけても流行らない事実に目を逸らすことは危険です。

5年前は、「正しかった、と言えないこと」は非常に注目されており、世の中の空気として否定されることはなかったと感じます。

一方、「正しかった、と言ってよいこと」は、5年前は、EC業界的には今更感があったように感じます。明らか(顕在化している)が故に、業界的な興味は弱いが、消費者は堅調に推移したと推測できます。

もしかすると、自分たちの業界では今更と感じていることこそ、やるべきネタが埋まっているのかも知れません。