ベンチャー企業における5つの成長痛

課題を解決したと思ったら、また違う課題が沸いてくる…事業でもプライベートでも同じ様なことがあるのではないでしょうか?

困りはしますが、これは健全な成長であり、課題は、乗り越えることができれば成長に繋がります。課題は、いわゆる伸び代なんだと思います。

その企業の成長における課題について、グレイナーの「5段階企業成長モデル」というものがあります。

ベンチャー企業経営で非常に参考にできる、役立つ知識ですのでご紹介します。

グレイナーの「5段階企業成長モデル」

市場や業態により企業の形は様々ですが、基本人を雇って事業をすることは同じなわけで、進化の段階における課題の形は、概ね同じです。企業が成長する進化の段階、発生する課題、解決のアプローチを端的にまとめたのがグレナーの5段階企業成長モデルです。

以下に示す内容は、5段階企業成長モデルの正しい解釈ではないかもしれませんが‥、私個人の経験から解釈したものです。たぶん、そこまで間違ってないと思います(汗)。

第1段階

創業期、いわゆる0→1の時期は、創業者の突破力がカギになります。創業者が、全ての業務に首も手も突っ込んで、ぐいぐい進めないといけない時期です。

この期間に訪れるのは、リーダーシップの危機です。起業してどんどん業績をつくり仕事が増えてくると、リーダー(創業者)のキャパシティーよりも業務量が多くなり、リーダー自身がボトルネックになって、成長が止まることです。

ここで考えていかなければならないのが、仕事をメンバーに任せていく必要性です。

第2段階

第1段階のリーダーシップの危機は、指揮・命令により、メンバーへ仕事を任せることで、第2段階目の成長軌道に戻ることになります。

この期間に訪れるのは、自主性の危機です。いわゆるスタッフが指示待ちになり、リーダー(創業者)の指示できるキャパシティーが事業の生産高になって、成長が止まることです。

ここで考えていかなければならないのが、権限移譲により、指示が無くても自ら仕事をつくり出していけるスタッフを増やしていくことです。社内で適任が見つからないのであれば、マネジメント人材の採用も検討していく必要もあります。

また、企業理念を構築して、理念に沿ってスタッフが適時判断できるような文化をつくる時期ともいえます。

第3段階

第2段階の自主性の危機は、権限移譲により、指示が無くても自ら仕事をするスタッフにより解決され、第3段階の成長に入ります。

この期間に訪れるのは、コントロールの危機です。権限移譲は業務分担により進められることが多いため、業務間の分断を生じやすくします。

隣のチームのやっていることがわからないや、やっていると思ってた…でスタックするあれです。全体の統制が弱いが故の、不効率が生じ、成長が止まります。また、不効率だけならまだしも、軋轢が生じやすくなります。

ここで考えていかなければならないのが、経営(役員)メンバーの調整力です。やること、やらないことの意思決定をして、決定をメンバーに正しく伝わる様に努力することが重要になります。丁寧に伝えないと、軋轢を冗長することになりかねませんので、注意が必要です。

第4段階

第3段階のコントロールの危機は、経営(役員)メンバーの調整力により解決され、第4段階の成長に入ります。

この期間に訪れるのは、形式主義の危機です。権限を経営メンバーへ戻して、第3段階のコントロールの危機を解決したわけですが、その経営メンバーの意思決定のスピードが事業の成長速度に追い付かかなくなることで、成長が止まります。

取締役会の意思決定は、手続きが重んじられるので、形式主義の危機と呼ばれるのかな…と私は解釈しています。

形式主義の危機は、協働による成長で解決されるとされており、一般的には、スタッフが有機的に協働することをさすらしいのですが、私は少し違うアプローチもあるのではないかと考えています。

協業は変わりませんが、内部ではなく、外部との協業により、危機を解決するのではないかと考えています。

例えば以下のような協業です。

  • 外部取締役を招き、意思決定の効率化を促す
  • 他社と事業提携(M&A含む)を行い協業する構造を促す
  • 公開企業(IPO)となり、外部株主を意識して経営する

第5段階

第4段階の形式主義の危機は、協働による成長で解決ますが、グレイナーの5段階企業成長モデルでは、またあらたな危機が発生するとされています。

つまり、どこまで行っても、課題はあり続けるというわけです。本当に事業は疲れますね(汗)ただ課題が目まぐるしく変わり、解決した時に成長を感じることができるのも、仕事の醍醐味ではあります。

まとめ

あなたの会社も、グレイナーの5段階企業成長モデルのいずれかの課題に直面しているのではないでしょうか?

もし直面していないとすれば、天才なのか、そもそものビジネスモデルが…あれなのかもしれません。また、課題が同じところでグルグルいたりする場合は、解決のアプローチが間違っているのかもしれません。

課題に対して、人を雇ってなんとかするは根本解決でないので、お勧めはできません。あなたの会社が置かれた課題と、その解決策を参考にしつつ、御社なりの根本解決の方針を決めて実行していきましょう。

また、創業間もないのに、「権限移譲がいいようだ!!」と飛び級で行かれることもお勧めしません。企業における5つの課題は、あるべくしてある、健全な成長痛です。

  • 創業期は創業者の熱量と突破力でなんとかし、仕事が溢れてしまうまでやり切りる。
  • その後、自分の仕事を任せていき、それでも溢れたら、分業化して権限を委譲する。
  • 権限移譲により部門分断が生じたら、役員の調整力に注力していく‥‥

ベンチャー企業の成長の痛みを味わいつつ、一歩づつ進まれるほうが、むしろ効率的ではないかとも感じます。