【2022年上半期】地方でのIT誘致に関するトピックまとめ
地方都市にIT企業を誘致する動きや、IT企業が地方への移転やサテライトオフィスを開設する動きは年々増えています。働き方改革やコロナ禍によるリモートワークの広がりを追い風に、今後も活発な動きが見られるでしょう。
そこで今回は2022年上半期で、地方でのIT誘致や移転を実施した事例をピックアップしてご紹介します。
2022年上半期│地方でのIT誘致や移転トピック4選
以前に掲載した「地方都市にとってのIT企業誘致。地方と企業、双方のメリット」の記事のなかで、地方都市がIT誘致に取り組むメリットと、IT企業側が地方へ移転するメリットを3つのポイントからご紹介しました。
【地方都市がIT誘致に取り組むメリット】
- 雇用の確保や経済の活性化
- 産業構造の多様化
- 移住促進や人口流出の抑制
【IT企業が地方へ移転するメリット】
- コストを削減できる
- 社員のワークワイフバランスを整えられる
- 地方自治体の支援を受けられる
地方にとっては雇用の確保や移住促進といったメリットがあり、IT企業にとっては固定費や人件費といったコストの削減や、社員のワークライフバランスを整えるといった効果が期待できます。
こうしたメリットに加え、地方でのIT誘致・移転の追い風となったのがコロナパンデミックです。もともとリモート環境と相性が良いIT企業は、コロナパンデミックによる行動制限を受けて「脱オフィス化」が加速しました。これまで地方移転に本腰を入れてこなかった企業も、この機会に本社移転やサテライトオフィス開設に動くなど、大きなターニングポイントとなりました。
では、2022年上半期に焦点を絞り、地方でのIT誘致や移転に関するトピックを見ていきましょう。
1.カラビナテクノロジー株式会社│宮崎
オイシックス・ラ・大地株式会社の連結子会社であるカラビナテクノロジー株式会社は、2022年2月に宮崎県宮崎市に「カラビナテクノロジー 宮崎オフィス(以下、宮崎オフィス)」を開設しました。
同社ではこれまで、福岡県福岡市に本社を置きながら、受託開発/制作をメインに、ECシステム開発や、その他基幹システム・スマートフォンアプリの開発といった、デジタル領域でのソリューションを提供してきました。
宮崎オフィスではこれまでの経験を活かした人材育成や地域発展、新規ビジネスの創出などに取り組んでいきます。また、宮崎でのワーケーションを導入することで、社員の福利厚生を充実させる点も狙いです。
カラビナテクノロジー株式会社が宮崎市に地域拠点「カラビナテクノロジー 宮崎オフィス」を開設しました
2.株式会社SHIFT PLUS│群馬
2022年5月18日、株式会社SHIFTの子会社にあたる株式会社SHIFT PLUS(高知県高知市)は、初の県外拠点として群馬県高崎市に新オフィスを開設しました。
同社ではカスタマーサクセス事業や、デジタルを活用した地域課題の解決に取り組んできましたが、事業継続計画の一環として新拠点の開設を検討。その中で、群馬県が独自に取り組んでいるDX事業「ぐんまDX加速化プログラム」にシンパシーを感じ、新拠点として同県の高崎市を候補に選びました。
デジタル化やDXは今後の社会成長を支える鍵となる分野ですが、一方で人材の確保や育成が急務となっています。SHIFT PLUSでは高知県でIT未経験者を採用し、業界で活躍できる人材へと成長させる教育プログラムを実施し実績を上げてきました。群馬県高崎市の新オフィスでも、こうした経験を活かしつつ地域の成長や課題解決に取り組んでいきます。
高知県のIT企業「SHIFT PLUS」が群馬県に初の県外拠点を開設
3.RPAテクノロジーズ株式会社│石川・新潟
東京都港区に本社を置くIT企業・RPAテクノロジーズ株式会社は、2022年4月1日に石川県と新潟県の北信越地方に、それぞれ新拠点を開設しました。
同社では、PC上での定型作業をソフトウエアに置き換えられるRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を軸に事業を展開していますが、これまでも新潟県や石川県でのRPA導入支援実績がありました。
事業が拡大する一方で、今後さらなる発展を目指すには、地域のDXを強力に支援できる事業拠点や常駐スタッフが不可欠となります。そこでRPAテクノロジーズでは今回、石川県と新潟県にサテライトオフィスを開設し、より北信越地域に根ざしたサービス提供の実現に取り組んでいきます。
RPAテクノロジーズ、「金沢オフィス・上越サテライトオフィス」を開設 地域に根ざすRPA活用を目指し地元企業と連携強化、地方都市独自の課題解決にむけたDX人材育成にも参画
4.株式会社BTM│宮城
全国へ向けてDX推進事業を展開している株式会社BTMは、2022年6月に新規開発拠点として宮城県に「仙台ラボ」を開設したと発表しました。
東京渋谷区に本社を構える同社では、東北地方での拠点として35兆円超の経済規模を持つ仙台市に注目。仙台ラボでは当地在住のエンジニアの採用や、Uターンや移住等を希望するエンジニアへの就業機会の提供を推進。また中期的には仙台や東北の企業、自治体等のIT化やDXに係る提案や案件獲得を目指す拠点として仙台ラボを活用していきます。
まとめ
今回は2022年上半期、地方でのIT誘致や移転に関するトピックをまとめてご紹介しました。
各トピックを見ていくと、冒頭でご紹介したIT誘致・移転のメリットに加え、「新たな地域拠点の開設」という狙いも、企業にとっては地方進出の大きな動機となっています。ITは全国規模での事業展開が可能なビジネスモデルだけに、企業としても本社以外の地域に新たな拠点を設けることは販路拡大に繋がります。
またこうした地方移転や、サテライトオフィス開設を受け入れる自治体の取り組みが活発になっている点も注目すべきポイントで、ITを軸にした特色ある町づくりが今後各地で増えると予想されます。