飛び込み営業は、売れる営業になるための最高のトレーニングの場
早速ですが、飛び込み営業ってつらいですよね‥‥(現在では、化石化しつつある業務かもしれませんねw)
飛び込み営業の経験がある方ならわかりますが、ほぼ修行です。私自身もリクルートという会社で、求人広告の飛び込み営業を経験してました。
また、リクルートで通期MVPを受賞したこともあるので、平均以上の営業力があるとは思っていますが、、、それでも、やっぱりつらいです。それでも、多くの会社で飛び込み営業は行なわれています。
そこで、このページでは
- 飛び込み営業がつらい理由
- つらくても、飛び込み営業をやった方がいい理由
- 飛び込み営業がつらくならない方法
などをお話したいと思います。
飛び込み営業がつらい理由
なぜ、つらいのでしょうか?少し整理してみました。
1.体力的につらくなる
1日に何十軒と、飛び込みますので普通に疲れます。何十軒も飛び込みますので、資料もその分持ち歩く必要があり重いです。
また、飛び込みはルーチン作業に近いため疲れてくると気持ちも切れます。気持ちが切れると元気が無くなってきて、お客様にも伝わって話も続きません。
私も営業をはじめたころは、気持ちが切れて、よく公園のベンチに座ってました。そんな時は何とも言えない、虚しい気持ちになりました(笑)
2.精神的につらくなる
飛び込まれるお客様からすると、営業マンは想定外の訪問者です。いい音楽を聴きながらいい気分になっている時にいきなり雑音が入るようなものです。
普通にイラッっときます。当たり前ですね。お客様は、イラッときていますので、当然ながら態度に出ます。
営業も「申し訳ないなー」と思いながら飛び込んでいますので、イラッした態度は営業マン自身の自尊心を傷つけます。これを毎日、毎時間続けていると、自尊心の傷が蓄積されていくので、体力の低下と共に、どんどん凹んでいきます。
3.飽きる
飛び込み営業で、お客様とまともに会話できるのは、うまくいって10人中2人程度です。
決裁者(サービスや商品の購入を決める人)に会える可能性も低いですし、バイトのスタッフさんと話していても成果に繋がるわけではないので、空振りも多いです。
10人中、8人は無駄な飛び込みです。つまり、8回は、ドアを開けて、決裁者に会いたいと伝えても断られて、資料を渡してくださいとお願いして、ドアを開けて帰るだけの無駄で単純な作業を、永遠に繰り返します。
私も、1日20件の飛び込み営業をしていましたので、1日16件は無駄で、1ヶ月で300件、1年で3,600件の無駄で単純な作業です。
体力的にも、精神的にも辛いことも加わって、「飽きたと思いたい、現実逃避したくなる」が正しいかもしれません。
飛び込み営業をやった方がいい理由
如何でしょうか?飛び込み営業やりたいですか?
私は飛び込み営業していて良かったと、今でも心の底から言えます。むしろ、飛び込み営業が難しい業種で、初めて営業を経験する人たちを少し可哀そうにも思えます。
飛び込み営業をやった方がいい理由を2つあげたいと思います。
1.体力トレーニング
私を営業マンとして育ててくれたリクルートでは、『「量」は「質」を凌駕する。』という呪文みたいな言葉がありました。
この言葉は基本的には新人さんに対してのメッセージです。「量」は「質」を凌駕するとは、「新人はまず量をこなせ。質を求めようとするな。量をこなすことで、質を求めているよりも、飛躍的に成果を出せる」という考え方だと、個人的には捉えています。
仕事の量は、半ば強制的なノルマが敷かれて、無理やりやらせるイメージです。しかし、無理やりやらされている量を繰り返していると、いつの間にか普通の量に変わっていきます。
スポーツ選手の脅威の身体能力ってとこですね。仕事の成果は、「量」×「質」です。そして、量は土合で、質は枝葉です。
最初に「質」を上げて、次に量にと思う方もいますが、量をこなせるのは素直な新人時代だけです。仕事のやり方を知ることは、手を抜くポイントを知る事でもありますので、後から量はなかなかできません。
つまり、営業初心者が、意味もわからず、飛び込みまくるのは、土台を作るには最適なんです。もちろん私自身も飛び込み営業をやっている時はわかりませんでしたが、今は「土台作りにはよかったな」と感じています。
2.感性向上トレーニング
一般的に、お問合わせ頂いたお客様と商談する場合、お客様が「サービスを知る→自分の課題を改善できるサービスと知る→検討するか考える→問合せする」を自ら行います。
逆に、飛び込み営業の場合は、飛び込まれたお客様は、飛び込まれるまで、ほぼ営業マンの紹介する商品やサービスの事を考えていませんので、「商品を知る」ことからはじめないといけません。
「商品を知る」前には、営業マンの話を聞こうと思える状況まで、営業マン自身で持っていかないといけません。聞こうと思えるようになるには、時間的な余裕や、営業マンが好かれるなどのきっかけが必要になります。
また、「自分の課題を改善できるサービスと知る」ためには、お客様が自ら知るか、営業マンがうまく知るきっかけを作って、お客様が認識するかの2パターンがあります。
飛び込み営業がうまいといわれる営業は、「商品を知る」「自分の課題を改善できるサービスと知る」の段階で、お客様主導ではなく、営業主導で進める割合が高く、結果、売れる営業といわれる存在になります。
また、飛び込み営業がうまい営業は、無関心なお客様との会話だけでなく、周りのスタッフの動きや、業務の内容や、働いている時間帯など・・・様々な状況観察を意識的、無意識的に行っています。
そして、発見した課題の小さな信号を読み取り、課題を浮き彫りにして、お客様に認識させて、自社のサービスで改善でき、改善できた結果、お客様の未来が良くなることをお客様と共感していきます。
この一連の共感量の優越が、営業成績の差になります。
様々な営業マンから営業を受けているお客様にお聞きした話なのですが、「最近は飛び込み営業も減ったねー。それに、最近の営業は話を聞いていても面白くない。買う気になれない・・・」と言われていました。
最近では、効率重視で、飛び込み営業を行う会社も減り、問い合わせを頂いたお客様のみに、営業マンをつかせています。
一見、効率的で賢い方法に感じますが、飛び込み営業で鍛えることができた、営業の感性が身につかず、作られた資料を説明するだけのステレオタイプな営業ばかりで、逆に売れない会社になってしまうのかもしれません。
いわゆる賢い愚か者(企業)になってしまう事には注意が必要だと感じます。
飛び込み営業がつらくなくなる3つの方法
さて、飛び込み営業をやった方がいい理由は述べましたが、やっぱり飛び込み営業はつらいのは事実ですw。そこで、少しでも飛び込み営業がつらくなくなる理由を記しておきます。
1.目的をもって行動する
飛び込み営業は、基本繰り返し作業です。つまり繰り返し作業は、何も考えていないとつらくなります。
そこで、繰り返し作業をプロセスに置き換えて、今、自分が何をしているのか?目的を明確にしながら行うことをお勧めします。
基本的な流れとしては・・・
- 決裁者を知る
- 決裁者に名前を覚えてもらう
- 決裁者の悩みを知る
などがプロセスです。
今日の飛び込み営業から、「今日は●●を目的に訪問する」と自分に確認してから、ドアを開けるようにしてみてください。
2.少しでも役に立つ手持ち資料を作っておく
私も新人時代、ノルマ的な訪問数を守らされていました。そして、毎日、20件も訪問していると、何度も何度もいく会社ばかりになってきます。また、意味もなく行くことが、徐々につらくなってきます。
そこで、自ら「行く理由を作ることを考えればいいんだ!」という所に行きつきました。
訪問しても、どうせ売れない事は知っています。であれば、少しでも喜ばれる資料を作って持っていく、(むしろ喜ばれない資料だと、次は行き場が無くなります(笑))つらくならないチラシを作って持っていくことにしていました。
ちなみに、チラシを作る賢いポイントは「渡しても直接的に売れる訳ではないので極力手を抜く」ということです。
- 手を抜いても、喜ばれるのは渡す側、受ける側に知識差があるもの(浅いノウハウでも、知らない人からすればいい情報)
- 時事的な業界に特化したニュースや記事(季節感があるとネタの枯渇に困ることが少なくなります)
手を抜くというと不謹慎ですが、続けること、続くことが重要です。続けていると、いつも役に立つ情報を持ってくるいい営業とお客様が、勝手に錯覚されはじめます(笑)。
3.お客様は「話を聞いていない」事を知る
飛び込み営業マンは、お客様からすれば雑音みたいな存在です。雑音なので無視されることも多くあります。あまりに無視され続けると、自尊心が傷ついてつらくなります。
そこで、知っておく方がいい事に、お客様は人の話を聞いていないことを理解しておくことです。例えば、「あなたは昨日、誰と何を話ましたか?」きっと、その多くが思い出せないと思います。
21日間ルールといって、3週間のうちに、3回以上接触がないと、人はほとんど忘れると言われています。
余談ですが、その逆をすると覚えてもらえる可能性が著しく高まります。「飛び込み営業はなんども同じお客様に足を運べ」と言われる由縁は、ここにあります。
また、人は言葉ではなく、周辺情報で相手の印象を捉えます。最初は、見た目や、言葉使いなどの方が、話の内容より大切です。だからこそ、営業スキルも無いのに、元気に挨拶して物怖じしない、新人がいきなり好業績を上げたりする事が多いのです。
やる気を出すための「2つの暗示」
さて、飛び込み営業がつらくなくなる工夫といいますか、心構えを紹介しましたが、最後にモチベーションを維持する工夫を紹介して、このエントリーを閉めたいと思います。
私が飛び込み営業をしていた時に、2つの暗示を自分に掛けていました。
1.マーキング営業をしているという暗示
マーキングとは、犬がおしっこをかけて縄張りを示す、あのマーキングです(汗)
私が営業していたのは求人広告で単価も低めだったのですが、はじめた頃に訪問した事を忘れてしまっていたお客様からお電話を頂くことが何度もありました。
実際にお会いしたこともない人だったのにも関わらず。何度か続いたので、なぜ、お電話をされたのか?ヒアリングしてみました。
- 一度は訪問したことのある営業先である
- 今までお願いしていた所があまり効果がでなくて困っていた
- たまたま私の名刺が近くにあったから電話した
つまり、訪問したことも忘れていた先から電話が掛ってくるのは、「たまたま名刺が近くにあったから」に行き着きました。
それを知ってからは、
- 「名刺を電話の近くに貼っておいて下さい」と一言付け加える
- ノベルティーには名刺を張る
- 名刺だけだとゴミ箱にいくので、見本誌に名刺を張る
- 求人の問い合わせを管理するシートを作って(自分の名刺付き)使ってもらう
- 名刺は捨てられるので、何回も持っていく
など工夫することで、新規受注の数を増やすことができました。
つまり、訪問した足跡を付け続ける・・・マーキングです。話す内容は関係ないですね。行動のみが成果に影響してくることも多分にあります。
そして、成功パターンを成功しやすい方向に向けてあげる事で、業績も上がります。
2.訪問1回の金額を意識する暗示
私が営業していた商品は、新規のお客様なら2万円という広告でした。1日20件の訪問で、週3件程度の新規受注だったので、100件訪問したら6万円って事ですね。
そこで、単純な私は「1件訪問したら600円くれる」と捉えると、気分的に楽だなぁーと考えるようになりました。
1回ドアを開けて、帰ってこれば、1分で600円くれます。超楽な仕事です。幼稚な考えでしたが、私には意外に効きましたので、ぜひ、お試しください。
まとめ
ベテランになっても、ずーーっと飛び込み続けるのは、如何なものかとは思いますが…、営業初心者にとって、飛び込み営業は、営業の土台を作るには最適なトレーニグの場です。
スポーツがうまくなるには、どんどんトライして失敗を繰り返す中で、成功体験を積んで、成長していくと思います。
大きな商談での失敗はかなり痛いですが、飛び込み営業の失敗は、当然の結果なので、何度も行える最高な環境なんです。
まっ、何にせよ、つらいのは変わりませんが(笑)
ただ、そのつらさを回避しつつ、業績に繋げる工夫もありますので、様々な手法を試し続けてみてください。
きっと、飛躍的に成長しますので!!