地方の課題に向き合い、それを事業の糧にする│T株式会社ライトライト齋藤氏-株式会社クラフ藤崎氏対談

本稿は、株式会社クラフのオフィシャルサイトに掲載された記事の転載です。

「地方創生」という言葉が浸透し久しく経ちますが、この宮崎でもその地方創生に奮闘する若い世代が多くいらっしゃいます。

株式会社ライトライト(LIGHT-RIGHT Inc.)の代表取締役・齋藤 隆太氏も、そんな地方の課題解決に取り組む1人です。同じ宮崎を地元とする藤崎(株式会社クラフ代表取締役)との対談では、両代表に共通するビジョンが見えてきました。

ーまずは、ライトライトの事業内容からお聞かせいただけますか?

齋藤:ライトライトでは、2020年7月から「クラウド継業プラットフォーム relay(リレイ)」の運営をおこなっています。

宮崎県内を中心に、「後継者がいない・事業を閉じようと思っている」といった方々と、「経営者を目指したい・事業を拡大したい」という個人・法人をマッチングして、地方の事業承継問題を解決するためのサービスを提供しています。

日本では2025年に中小企業の経営者の約7割(※1)が、平均引退年齢といわれる70歳を迎えます。事業承継の課題解決は今後さらにニーズの高まりが予想され、ライトライトもそこに向けてサービスを展開していければと考えています。

※1:平成28年度総務省「個人企業経済調査」からの推計によると、2025年に70歳以上を迎える中小企業の経営者は約245万人。70歳未満が136万人とされ、中小企業全体の約2/3が(64.3%)平均引退年齢を迎える。

藤崎:素朴な疑問になりますが、なぜ宮崎でやろうと考えたのですか?

齋藤:前職ではクラウドファンディングを通して、地方の悩みを解決することに取り組んでいました。しかし、東京に拠点を置きながら地方の課題を解決するには限界があるなと。やはり、現場にいないと実体験が伴わず課題を肌で感じることができません。一次情報を得られる範囲が限られてしまいます。

現場の情報をリアルに得て、より本質的な課題解決に取り組むために、私の地元でもある宮崎に軸足を置いてサービスを展開しようと考えました。

藤崎:自ら宮崎という「現場」にいないと掘り起こせない課題がある訳ですね。

齋藤:そうですね。とくに事業承継・後継者問題は地方の喫緊の課題です。実際に宮崎でいろいろなお話を伺うと、逼迫感がダイレクトに伝わってきます。例えば、そもそも飲食や個人事業主は、事業継承や後継者問題に対しての解決策を持っていません。どこに相談するのか分からないという現実があります。銀行も、どうしても事業規模の大きい相手にしか手が回らず、個人は取り残されてしまう。

そうした現状を知り、課題解決に取り組むにはむしろ地方からアプローチしなくてはだめだと感じています。

藤崎:地方というキーワードは、私たちクラフも強く共通する部分です。私も同じ宮崎生まれ宮崎育ちの人間です。高校卒業までを宮崎で過ごし、大学や社会人での数年間は県外へ出ましたが、その後再び宮崎へ戻ってきました。

これまでの自身のキャリアから、働く人達の課題に応える企業を創業したいと思い至りました。もともとはNPOを立ち上げようとしていたほどで、いわゆる社会起業に近いイメージです。

地方で働く人の課題は、環境自体にその多くがあると考えます。クラフでは、敢えて未経験や異業種の人材を積極的に迎え、ノウハウを身に付ける教育習熟の整備に尽力しています。この宮崎という地方で共に働く社員の皆さんが、社会に強く必要とされる人材となり、安心して働くことのできる環境を得る機会になりたいとの想いです。

働く人の課題を解決する環境を可能な限りを尽くし整え続け、1人でも必要とされる人材を増やしていきたい。その結果、皆さんに未来へ向けてのさまざまな選択肢を持っていただければと、クラフの根源にはそのような想いが強く込められています。

ライトライトは「地方の経営者」の課題に向き合い、それに応えることを目指しています。同じくクラフでも「地方の働く人」の課題にフォーカスして、課題解決に取り組んでいます。

地方というキーワードの元、現場の人の視点に立ってアプローチしながら、事業の糧として成長していく。これは両者に共通するビジョンといえるでしょう。対談後編では、両代表が事業に取り組む上で何をモチベーションとしているのか、その源泉について伺います。

【原文】